【読み:いたりあん・くろす】
現在では綿糸使いのものが一般的でありますが、本来のものは毛織物で、毛朱子といわれるものです。これはたて・よこともウールか、またはたてに黒く糸染めした綿糸、よこ糸に60番手(毛番手)程度の梳毛糸を使って5枚のよこ朱子に織り、反染めにしてよこ糸のウールを染めたものです。よこ朱子のためたて糸は隠れ、よこ糸のウールが表に表われますが、さらに加工の時にたて方向に強く引っ張って、たて糸の綿糸がいっそうに隠れるようにし、羊毛の表面を光沢加工します。綿のイタリアン・クロスは、30~50番手の糸を使った5枚よこ朱子織物で、一般的には黒に反染めをし、シュライナー加工を施して光沢を出すとともに目つぶしを行った織物です。用途は、ウールのものは服地など、綿のものは服の裏地、傘地などです。なお、ベネシアンのことをイタリアン・クロスといっている場合もあります。