【読み:あすとらかん】
柔らかい巻毛のパイルで覆われたパイル織物です。パイルをたて糸でつくるものと、よこ糸でつくるものがありますが、たてパイルの方が一般的です。ロシアのカスピ海沿岸のアストラカン地方に生息する小羊の巻毛に似せているところからこの名があります。
地糸には梳毛糸か綿糸を使い、パイル糸には光沢のある羊毛糸、または光沢の強い太いモヘアをあらかじめ強く巻縮させて使います。このパイル糸が織物の表面にちぢれあがってうず巻き状や玉状になります。パイルを巻毛にした状態のものが一般的ですが、このパイルをカットして毛羽状にしたものもあります。前者をテリーアストラカン、後者をブラッシュアストラカンといいます。ニット生地にも同名のものがありますが、これはループ糸を編み込んでアストラカン状にしたものです。婦人用のオーバーコート、またはその衿やチョッキ、防寒帽などに使われています。