「婚」の始まりとは

【読み:こんのはじまり】

伊邪那岐は一目で好きになった伊邪那美に「あなたのからだはどんなふうにできていますか」と質問したところ「私は大変健康です。でもどうしても一つ足りないところがあるようです」と答えました。伊邪那岐は「私は一つあまっているところがある。あなたの足りないところに、私のあまっているものを差し入れ塞げば子ができる。さあ始めよう」と言いました。こうして日本の国が生まれたと古事記に載っています。これが日本の「婚」の始まりです。
この二人は柱の周りを一周し出逢ったときに契りを結ぶことになりました。左から伊邪那岐、右から伊邪那美が回り出逢いました。伊邪那美が「なんて素敵な方でしょう」と声をかけると、伊邪那岐も「いやいやなんと美しい女だろう」と答えて結ばれました。ところが二人の間の子供(国)は骨がなく不具で生まれました。二人はがっかりし、もう一度始めからやり直します。そのとき天神が「不具の子が生まれたのは、女から先に声をかけたからだ。今度は男から声をかけなさい」と言いました。二人は前と同じように柱の左と右に分かれて回り、伊邪那岐から声をかけ、契りを結び直しました。すると健康な子供が次々に生まれ、日本列島ができ、そのあと水、土、金、木、火をつかさどる神を産み落としたとき、伊邪那美は、火の神に「陰処」を焼かれ黄泉の国へと旅立ちました。
夫婦山、夫婦池、夫婦茶碗、夫婦箸、そして二見が浦の夫婦岩などのように、夫婦という字がつけられたものに、一対が同じ大きさで揃っているものはありません。女の方が小さく男に寄り添っているのが理想という日本人の夫婦観を象徴しているようにも思えます。

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