【読み:ぶがくしょうぞく】
「舞楽」は、平安朝期に発達した「雅楽」を伴奏とする舞踊です。「舞楽」の上演における舞人、楽人の一切の衣装を「舞楽装束」といいます。「舞楽装束」を大別すると、「舞人装束」と「舞楽装束の二種に分けられます。「舞人装束」は、日本固有の歌舞(声楽本位)の神楽、東遊、倭舞などに用い、「舞楽装束」は、中国、朝鮮、インドなどより伝来した外来の楽舞(器楽本位)の唐楽、高麗楽に用います。
≪舞人装束≫すべて国風の服装ですが、舞によってそれぞれ異なります。ただし、冠はいずれも用います。種類は、「人長舞装束」、「東遊装束」、「倭舞装束」、「久米舞装束」、「五節舞装束」などがあります。
≪舞楽装束(唐装束)≫中国、朝鮮、インド、南方諸国より伝来したものを基に、平安時代に日本風に改修された外来楽形式の楽舞の服装です。装束も外来の風俗を模し、仮面をつけるものと、つけないものとがあります。左方と右方との二種に分け、「左方舞」、「右方舞」と区別します。「左方舞」を「唐楽」といい、中国、インド方面から伝来したもの、またこれにならってつくられた楽を伴奏とする舞で、装束の色彩は、赤色系統を基調とします。「右方舞」は、「高麗舞」といい、朝鮮方面から伝来したもの、またこれにならってつくられた楽を伴奏とする舞で、装束の色彩は原則として青緑色系統を基調とします。「舞楽装束」の種類には、「襲装束」、「蛮絵装束」、「裲襠装束」、「童舞装束」、「別装束」などがあり、いずれの装束も左方、右方の対照的色彩の区別があります。
≪楽人の装束≫伴奏者の装束では、「舞人装束」の場合は、舞人とだいたい同じです。「舞楽装束」の場合は、「襲装束」を着用します。