熨斗目と熨斗、熨斗模様、熨斗目模様などは、とてもよく似ている言葉で、同じものをさす場合もありますが、もともとは違うものを示していました。
熨斗は、鮑を剥いで熨斗鮑として、進物に添えたものです。現在ののし袋の右上にある「のし」印の元となったもので、その熨斗が、熨斗模様や、束ね熨斗へと展開していきました。
それに対し、熨斗目は、練貫という織物のひとつです。縦糸に生糸、横糸に練り糸を用いた平織りの絹織物で、士分以上の武士が礼服として、大紋、素襖、麻裃の下に着用しました。袖の下部と腰の辺りの色を変えたり、その部分に格子縞や横縞を織り出したりしたものを腰替りといい、熨斗目＝腰と袖裾の変わり織りデザインを表していました。
腰代わりである熨斗目は、現在はお宮参りや七五三の男児の祝い着に用いらるデザインで、呉服屋さんによってはお宮参りの祝い着を「熨斗目」と呼んで通じる場合もあるそうです。
