【読み:せんす】
扇子は、数本から数十本の細長い骨組みを束ねて、要とよばれる端の一点で固定し、使うときには広げてあおぐものです。うちわと同様に自分の手で風を送り、涼をとるための道具です。
扇子の骨には和紙が張られたものや薄布が張られたものなどがあり、広げたときにはその部分が扇面となります。
扇子の広がる角度は90~180度くらいまで様々にありますが、主流のものは120度程度のもので、円を産等分したくらいになります。
扇子を開いた形を「扇形」といいます。これは幾何学の用語にもあります。扇子の形状は「末広がり」の意味に通じ、縁起の良いものとされ、おめでたい席での引き出物に用いられたり、婚礼の招待客が慶事用の扇子をさしたりします。また、扇子のことを「末広」ともいいます。
扇子の「扇」は「おうぎ」と発音しますが、これは「あふぐ」の派生形である「あふぎ」に由来します。歴史的仮名遣いでは「あふぎ」ですが、現代仮名遣いでは「おうぎ」と表記します。
扇子はあおいで涼しさを求める他に、舞や噺家においては重要な演出道具になったり、お茶などの芸事でのご挨拶に用いられるなど、様々な機能役割を担っています。