形見分けとは

【読み:かたみわけ】

故人が生前愛用していたものを、故人と親交のあった方々に差し上げることをいいます。身近に置いて思い出していただくために、遺品を贈るのです。袖分け、裾わけと呼ぶ地方もあります。故人が大事にしていた衣類を親類、知人に配ります。これは女性に財産分配がなされていなかった頃に自然とできた制度で、ひとつの遺産分配ともいえます。中国では次の権力者に印を渡したり、また日本でも刀を贈ることもありましたが今では、形見といえばおもに衣類のことをさします。
形見分けは四十九日が過ぎてから渡します。それまでは寺で預かってもらい、毎日形見にもお経をあげて、きものにとどまっているその人の霊を鎮めます。地方によっては四十九日に位牌をそえて一緒にお経をあげるところもあります。形見分けを配るときはたとう紙に包んだりせず、そのまま風呂敷に包み、伺った先では裸のまま渡します。新品ではないというへりくだった気持ちがきちんと包装することを拒むのです。
また手から手に渡す温かさが、亡き人の気持ちを優しくゆだねることになるようです。

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