吉祥文様とは

【読み:きっしょう】

良い兆し、めでたいしるしという意味を表現した文様の総称が吉祥文様です。祝意を表し、礼装のきものや帯に用いられます。中国の影響を受けたもの、日本で縁起が良いとされるモチーフなど様々な図柄があります。
中国からもたらされた吉祥文様には、龍や鳳凰、雲気、鶴、亀、松竹梅、含綬鳥、花喰鳥などがあります。また日本で生まれた吉祥文様には橘、御簾、几帳、檜扇、冊子、御所車、貝桶、熨斗などがあります。他にも四君子、熨斗、薬玉、宝尽くし、南天、桃も吉祥文様です。
「松竹梅」は、その字の通り、松、竹、梅の組み合わせです。常緑で寿命が長く、神の宿る木といわれる松、冬の寒さにおいても緑を保ち、雪にも折れない竹、雪の中でもつぼみをつけて、芳しい花を咲かせる梅は「歳寒の三友」とされます。 「四君子」は、梅、菊、蘭、竹の4つの植物をさします。中国で古来、徳のある草木とされるこの四つは君子として必要な資質になぞらえて「四君子」となり、書画や詩歌の題材にもなりました。
「宝尽くし」は、中国の思想、七宝、暗八仙、八宝にルーツを持ち、日本的にアレンジされた宝物で構成されます。中国の七宝は金銀以下の七つの玉のこと、暗八仙は八千人の持ち物、八宝は仏教の法具や荘厳具をさします。「宝尽くし」は時代や地域などによって、内容に違いが見られるそうです。七宝、宝珠、宝巻、分銅、打ち出の小槌、珊瑚、丁字、巾着、隠れ笠、隠れ蓑、砂金袋など数々のアイテムが宝尽くしには登場します。これらの宝物は複数組み合わされることもあれば、単独で用いられることもあります。
「薬玉」は、端午の節句に菖蒲や蓬を吊るして邪気払いをした、中国の風習がルーツです。この風習がやがて、室内の不浄を払い、邪気を避けるための薬玉に姿を変えます。薬玉は麝香や沈香などの貴重な香を錦の袋に入れ、菖蒲や蓬の葉で飾り、五色の糸をたらしたもので、時代を経て、様々な花で飾りつけた優美な装飾品となっていきます。その美しさにより、着物の柄に用いられ、女の子の七五三の祝い着にも見られます。「久寿玉」という縁起の良い字を当てることもあります。
日本の吉祥文様の代表的なもので、鶴亀、桃、菊、熨斗、兎などは長寿、葡萄、瓜、唐子などは子孫繁栄、桐、麻、竹などは成長祈願、七宝、宝船、扇などは栄達、琵琶、藤、鯉、鶏などは昇進、鴛鴦、相生の松、貝などは夫婦円満、雪輪、雀などは豊作、薬玉、瓢箪などは健康を意味します。
吉祥文様のそれぞれの図柄は、めでたさ、縁起の良さを意味として持っています。

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