【読み:しぼり】
布の一部をつまみ、糸で括ったり、器具で挟んだりして防染し、染料で染めたものです。総絞りのきものは、一粒ずつ括っていく細かい作業のため、とても手間がかかります。
鹿の子絞りは総絞りにした模様が、鹿の背中のまだらに似ているところからついた名称です。振袖などに用いられており、江戸時代、奢侈禁止令で使用を禁じられたこともありました。鹿の子絞りには、手結びと器具を使用したものとの2種類があります。
本鹿の子=青花刷りの星に合わせて、指先で布施をたたみ込み、絹糸で7回括ったものをいいます。4回括ったものを中疋田、2回括ったものを京極といいます。
京極絞り=器具を使って木綿糸で括ります。生地の線条に一粒ずつ京極を絞ったものを一目絞り、人目絞りといい、模様絞りに多く用いられています。また、一目絞りを総絞りにしたものを「総一目」といいます。
疋田絞り=普通の鹿の子よりやや大型の四角形の絞りのことをいいます。
絞りのきものは高価であっても、正式な場には着られないといわれます。紋付ではないため、留袖より格は下ですが、儀式などでなければ訪問着として立派に着用できます。