【読み:じだいぎれ】
絹織物の呼び名のひとつで、茶の湯において、名物と呼ばれた茶道具を入れる袋(仕覆)や袱紗などに用いられた布地です。またの名を「名物裂」といいます。 室町時代に、中国(明)との貿易によりもたらされた絹織物がたくさんありました。その中で、特に大名家や社寺で、とても珍重された裂地の総称です。茶の湯の興隆にともない、茶人にも見出され好まれました。時代裂には様々な種類があり、由来や模様からつけられた名前を持っています。織元は中国の他、東南アジア、インド、ペルシアなどとされています。緞子や金襴、銀蘭、間道、錦、モール、風通、更紗などその種類は十数品種、三百数十種もあるそうです。 江戸時代中期になると、時代裂はその伝来の時期により、極古渡り、中渡り、今渡りというように分類されるようになりました。 代表的なものとして、有栖川文、蜀江文、笹蔓文、荒磯文、花兎文などがあります。時代裂は、茶器の仕覆や袱紗の他、掛け物の表装、帯地などに用いられています。