【読み:うわぎ】
唐衣の下に着る衣で、垂頸(たりくび)・四角い広袖の織物の衣(袿)のことです。その形はその下に着る五ツ衣と変りありませんが、下の襲を見せるために幾分小形につくられます。色に定めはありませんが、地質は階級によって、表に二倍織物・浮織物・堅織物の違いがあります。
裏は全て平絹です。表の文様は各自の好みによって椿・藤・松・菊などが用いられます。近世の例をあげると、女御の表着の表の地質は二倍織物、色目は赤地白、文様は地文入子菱上文抱牡丹、裏は紅の平絹です。典侍の表の地質は浮織物、色目は麹塵(きくじん)、文様は若松唐草または椿唐草、裏葉紅の平絹となっています。この表着以下五ツ衣までの衣はみな袿と呼ばれるものですが、最上の袿を表着というのに対し、下の方にかさねる衣を五ツ衣あるいは重袿といいます。