【読み:なんばんふうぞく】16世紀から17世紀にポルトガル人、スペイン人によって、日本にもたらされたヨーロッパの風俗のことです。天文年間(1532〜1554)にポルトガル人が種子島に漂着したのを皮切りに、スペイン人が来航し、布教ならびに貿易を行うと同時に、さまざまなヨーロッパの文物を持ち込みました。ポルトガルがマカオを拠点地として南方から渡来していたため、彼らを「南蛮人」と総称して、その異質な文化を喜んで受け入れて華麗な風俗を展開しました。宗教はもちろん、学問、芸術、生活などあらゆる分野に及びました。「南蛮笠」、「南蛮帽子」、「南蛮頭巾」など頭に「南蛮」がつくものは、多くあります。外衣の「カーパ」は、「合羽」に、着衣の「ジュバン」は、「襦袢」にと、日本人に深く関わり、消化され、受け入れられたものもあります。「ラシャ」や「ビロード」などの布地や、靴下から入った「メリヤス」も新しい素材として受け入れられました。その他、武士たちは、武運を祈って十字架や数珠(じゅず)、その他宗教的なものも身につけましたが、禁教とともにすたれ、南蛮風俗も鎖国により、消え去り、すたれていきました。