【読み：ころもがえ】
着物には季節によって着用するもののルールがあり、季節の区切りによる衣類の変更を衣替（衣更）といいます。平安期の中国伝来の衣替え儀式から端を発し、日本においても宮中のしきたりや江戸時代、明治時代に衣替えの期日の変化を経て、現在の衣替えになりました。
10月～5月までは袷（あわせ）と呼ばれる、裏地つきの衣類を着用します。（古くは綿入れという表布と裏布のあいだに綿を入れた着物を1用いました。これは防寒のための工夫で、その頃は、4月1日になると真綿を抜いています。そのため、四月一日と書いて「わたぬき」と読むことがあります。） 6月1日から単衣（単、ひとえ）と呼ばれる、裏地なしの表地一枚で仕立てられた衣類を着用します。 7、8月は絽や紗を染めたものや紋紗、上布(麻)、夏大島、そのほか薄物（うすもの）と呼ばれる、単衣仕立てで盛夏用の素材・生地を着用します。帯も絽、絽綴(ろつづれ)、紗、羅など盛夏用のものをとりあわせます。 9月1日からまた単衣に戻り、10月1日から袷、というサイクルで、着用する衣類が定まっています。
帯や長襦袢、下着や小物類も季節毎に用いるものが異なり、時期に合わせたものの組み合わせとなります。時期に先んじる場合はともかく、季節に遅れた支度でいるのは、無粋なことに思われがちです。
だたし、実際は気候の変化や、エアコンなどの空調により、暦通りの支度に暑さ寒さに合わせた調整が必要となり、見えないところ（下着や襦袢）の素材や着方を工夫することが必要にもなってきています。
