【読み:かみいれ】
外出の際に必要な小間物を入れ、懐中した用具の一種です。「鼻紙入れ」、「鼻紙袋」ともいいます。延宝年間(1673~1680)以前には、革や、絹、木綿などで、三つ折りにつくられた「紙入れ」が用いられ、中には、薬や、耳かき、石筆などが入れられていました。
安永年間(1772~1780)ごろになると、ラシャや、更紗(さらさ)、緞子(どんす)などでつくられた「三徳」というものがはやり、書きつけ、楊枝(ようじ)などを入れて鼻紙をはさむような形のものが用いられました。その後、「鼻紙さし」というものができると、「鼻紙袋」には、金銭や外出に必要な小間物のほか、鏡入れもつけられました。
宝暦年間(1751~1763)ごろには、武家の中流以上の婦人の「鼻紙袋」は、「筥迫(はこせこ)」と称され、現在の花嫁や七五三の装いのアクセサリーの先駆となりました。