【読み:かぶきふうぞく】
歌舞伎は見るものですから、史実や現実と同じものではなく、実際には大きく誇張した表現を必要とするので、事実とはあてはまりません。
調度品にしても、武家や町人の生活のなかに公家の調度品も出てくるようなこともあるので、昔は、「歌舞伎風俗」のことを、「蒲鉾(かまぼこ)故実」といいました。何でも練り上げてつくるからのたとえです。それだけに、早変わりのための早ごしらえ、引抜き、まないた帯、四天(よてん)など、さまざまな工夫が舞台効果をあげるために行なわれています。
ただ、明治に入って、九代目市川団十郎の活歴(かつれき)以来、史実にそった舞台衣装を求める傾向が生まれ、今日に至っています。