【読み:ほうぶく】
①一般の名称としては、「法衣(ほうえ)」と同義に用いられています。②「袍裳(ほうも)」、「袍服」といわれるもので、『袍』と『裳』の二部制で、同色同布の帯で結びます。養老の「衣服令」に定められた文官の礼服(らいふく)に近いものと思われます。律令のころは、『壊色(えじき)』といって、香、墨の色を用いましたが、官位とともに賜色(ししょく)の賜紫(しし)や賜緋(しひ)が許されると、香色(こういろ)や正色(せいしょく)である青、赤、黄、白、黒が用いられるようになりました。有紋、裏つきで、衿は広く、平安時代中期以降は、いわゆるのちに「僧綱襟(そうごうえり)」とよばれる僧綱職[=僧正、僧都、律師など]にのみ許された、首の背後で衿を方立(ほうだて)にする形式が用いられていました。袴(はかま)は、表袴(うえのはかま)が用いられていました。鎌倉時代以降の禅、および、時宗を除く各宗派の最高の儀式の「法衣」とされています。これと同形式で、無紋、単(ひとえ)の白色のものは、『鈍(純)色(どんじき)』とよばれ、平安時代中期以降、神道的行事に用いられています。しかしのちには、こちらにも白以外の色も用いられ、表袴を指貫(さしぬき)の袴にかえて用い、あるいは、裳を略し、「宿直(とのい)装束」として用いることもありました。③黄檗(おうばく)宗に用いている「法衣」を同宗派では、「法服」と称しています。中国明代仏教の様式を残しています。