【読み:もふくのじゅんび】
嫁入り道具の中に、一生の典礼用に着るきものだけはそろえるという家があるようです。不祝儀に着るきものは、めでたいときにつくっておくのが一番いいと、出産と同時に婚家が喪服を作る地方もあります。 関西方面では嫁入り支度の中に、夏、冬必ずそろえ、紋の場所に白い布をはり、全部をう金の布、または白い布で包んでタンスの一番下にしまって持ってゆく風習がありました。喪服までそろっていると、用意がよいと思われるのですが、東の方では、縁起が良くないといって嫌われることもあり、地方によってしきたりに差がありました。水戸の方では、夏の里帰りに、婚家でつくった夏の黒紋付を着て帰るのが習わしのところもありました。昔はそれぞれの家で、頭を悩ませながら一番いい方法で喪服を用意していたようです。