紐おとしとは

【読み:ひもおとし】

米子、出雲など山陰地方では「紐おとし」という行事が続いています。出雲大社を中心にしてひろめられたものですが、この地方の子供は数えの四歳になると晴着を着て、祝日の十一月十五日に出雲大社に詣でます。このとき男の子は髪をおかっぱに、女の子は皇女風の髪型に花をいっぱい飾ります。きものは、男の子は紋付に袴、女の子は振袖です。この衣裳からすると、髪置の儀、着袴の儀、それに帯解の儀を一緒に合わせたのではないかと思われます。 紐落としとは、男女それぞれのきものにくくり紐がついていたのをはずし、腰紐できものの揚げをすることです。仕立ては四つ身ですが出雲では大人の反物と同じ長さのものを四つ身仕立てにするのが特徴です。12mに及ぶ一反の布を、子供の着丈に合わせて表地、裏地に使い、それでも余った場合は、背中の内側でつまんで縫い込んでおきます。本来裏地には表地に比べて薄い布(胴裏、八掛)を使うのですが、この場合は表地を裏に使うので、ふつうのきものより重くなってしまいます。しかし一反の布を切らないで四つ身仕立てにしておけば、成長したあとも本裁ちのきものをつくれるので合理的です。また、振りと衿には表地の色と調和した別布をつけます。下に着る長襦袢も大人用の反物を切らずに仕立てますので、子供には大変重い衣装となります。そのうえ帯は踊り帯か袋帯で、真ん中をあらかじめつまんでおき、大人と同じように手結びで仕上げるのです。男の子の方も、昔は元服のときに着られるように大人の寸法で仕立てていましたが、現在はこの年だけの祝となっているので、子供寸法の既製品を着ています。

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