【読み:うーるのきもの】
ウールの小幅物で単(ひとえ)仕立てにした普段用のきもののことです。衣料不足の時代にウールの洋服地をそのまま用いたことから、戦後になって「ウールのきもの」の名称が使われました。戦前にも同じようなもので「セル」や「メリンス」といわれるものがありましたが、いわゆる広幅物で男女とも単仕立てにして、春先や秋のはじめごろに着ていました。現在のウールのきものは小幅物が主流で、紋織や絣(かすり)などが開発されてると着る範囲が広がり、外出着として愛用されました。ミシン縫いで仕立てが丈夫なこと、単仕立てでも夏以外のスリーシーズンに着られる重宝さ、ドライクリーニングで丸洗いできる実用性などが流行の要因でした。産地はもともと御召(おめし)や銘仙を織っていたところが多く、需要の少なくなった御召や銘仙をウールのきものが補っていた時期もありましたが、現在の需要は減っています。