【読み:つむぎ】紬糸で織った絹織物です。紬糸は、真綿を引き伸ばして細く糸にしたものですが、現在では、手紡ぎすることが非常に高価につくため、玉糸や木綿、毛、合繊の節糸を使い、外観上、ざっくりとした紬の風合いに似せたものを「紬」と呼んでいます。紬織りの代表的なものとして、関東の「結城紬」、八丈島の「八丈紬」、長野県の「信州紬」、石川県の「白山紬」、沖縄の「久米島紬」などがあります。身分の差によって衣服に対する厳しい規制のあった江戸時代でも、「紬」は、養蚕農家では商品化できない粗悪品の繭糸を使って織り上げていたため、「絹に見えないほど質素なもの」と思われていたため、農山村の人々や町人などの身分の低い人々にも着用が許されていました。そのため、きものの世界で「紬のきもの」は、カジュアル的な位置にあり、正式なお茶会やパーティーには着て行けないことになっています。しかし、一つ紋入りの色無地の紬だけは例外で、正式な場にも着用できます。現在では、その伝統技術が高く評価され、訪問着のような紬も生産されるようになりました。