【読み:かさ】
雨や日をさえぎる道具です。「唐傘」、「差し傘」ともいいます。竹や金属の骨に紙や布をはり、柄(え)をすえて、開閉できるようにしたものです。「雨傘」と「日傘」があり、開閉できないものには、「蓋(きぬがさ)」、「簦(とう)」などがあります。古代からエジプト、アッシリア、ペルシャなどで、神や王の威厳を示すものでした。日本には、中国からもたらされ、貴人にさしかけて、雨や日をさえぎるものでした。鎌倉時代ごろから、個人用のものができたようですが、室町時代に大道芸人とともに流行し、江戸時代になって、しだいに一般庶民にも普及しはじめました。「蛇の目(じゃのめ)傘」や、京都から伝わった「番傘」、青に紅葉の絵をつけた「紅葉傘」などが流行し、名前や、屋号、紋所をつけたりしました。「日傘」も同じように、「青日傘」、「二重張り」、「錦絵張り」、「絵日傘」など、結髪の発達につれ、女性の間にも大流行し、「青日傘」は、幕府が『奢侈(しゃし)禁止令』で厳しく取り締まるほどでした。幕末には、晴雨両用ができましたが、安政年間に、横浜から「洋傘」が普及しだすと、維新後は、新文化の象徴として、「洋傘」が男女に普及し、晴雨ともに「和傘」はすたれていきました。