【読み:おびあげ】
帯の上辺を飾る布で、帯枕にかけて使います。帯枕を帯揚げで包んでお太鼓の上部に当てて、帯結びの形を整えます。体の前方で結んで、端を帯の中に隠します。絞り、刺繍、箔置きなど様々な種類があり、着用目的や好み、季節に応じて使い分けます。面積的には小さいですが、帯周りの色彩、華やぎ等、着物姿を引き立てる大事な要素になります。
振袖用の鹿の子絞の帯揚げは、以前ピンクでしたが、最近は若竹色、黄金色、萌黄、藤紫などきものや帯との配色のよいものが好まれています。振袖の帯揚げは「のし結び」にします。両端を胸元で打ち合わせるので、結びとはいいますが、結ばずに上前を衿に添って「入」の地にはさみこみます。胸のあたりにアクセントをつけてゆたかなふくらみをみせているのです。
留袖には白綸子の帯揚げを用います。訪問着や小紋のきものには絞り染だけではなく、綸子や縮緬の無地やぼかし染などを用います。小紋染めのものもあります。帯揚げも衣更(ころもがえ)にしたがって6~9月中は紋紗や絽を使います。
帯揚げなしではお太鼓はまとまりません。手を膝前にしておじぎしたとき、横からちらりとみえるのが帯揚げです。わずか五尺足らずの布ですが、その扱い方ととりあわせで自分だけのおしゃれな演出を楽しむとよいと思われます。