【読み:こーと】
コートは上着のひとつで、防寒、雨よけ、塵除けなどの目的で着用されます。雨よけのものは、雨コートとも呼ばれます。半コートという丈の短いものもあります。また、道行(みちゆき)と呼ばれる上着も、コートに含まれます。
襟の形にはいくつかの種類があり、道行襟、都襟、糸瓜(へちま)襟、千代田襟、被布襟、道中着襟などが代表的です。 丈や生地、色柄については、使用目的を第一に、着物との調和や好みなどにより、様々に選ばれます。
裏地をつけて仕立てる「袷コート」、裏地無で仕立てる「単衣コート」、「うすものコート」と呼ばれる、夏用に絽や紗、羅、レースなどの涼し気な透けた素材で単衣仕立てがコートもあります。それぞれ季節によって着分けます。防寒目的のコートの場合、11月頃からお召しになる方が多いようです。
着物上着のひとつである羽織と違い、室内では着用しません。洋装のコートと同様に、玄関に入る前に脱いで手に持っているのが作法とされます。 羽織と異なるもう一つの特徴は、紋を入れないことです。羽織は、略礼装に用いるものには、紋を入れます。しかし、コートはあくまでも道中の防寒、防雨、汚れ防止が目的であるため、紋を入れることはありません。
コートの丈は、半コートと呼ばれる短めの丈から、着物の裾まで覆える長いものまであります。着用の目的に応じて、選ぶのがよいでしょう。 また、コートの袖丈は着物と同じかそれ以下にしておくと、袖から着物の振りや袖が飛び出すことなく、美しく装えると思います。 中には、広めのラグラン袖に仕立ててあり、ふりのないコートもあります。
生地はベルベットやウールなどを用いる防寒目的のものや、防水を施した色落ちしにくく、しわになりにくい生地を用いた雨コートなど、目的に応じて選ばれます。 塵除けのためのコートでは、絵羽柄や付け下げ柄、小紋柄、ぼかしなどもあるようです。着物やTPOを考慮して、おしゃれに装いたいものです。