桐ダンスとは

【読み:きりだんす】

タンスの王者は桐ダンスです。柾目(まさめ)の美しさと、なめらかな肌だわりは絹のやわらかさとどこか似ているように思われます。桐は湿気が強いと木の繊維が膨張し、外からの水気を中に入れないようにしますし、乾燥期には繊維も縮んで、存分に内の湿気を外に出してくれます。桐はまさしく絹の保護者です。鉄筋のマンションにも適応します。 桐の他に樽の木や欅(けやき)も和ダンスに適しています。いずれもよく乾かした木材を使用しなければいい和ダンスはできないそうです。桐は大きいところでタンスを作り、それから小引き出し、小箱、ゲタ、ハシ、しかもかんなくずは陶器を磨いたり、藍だてのために燃やしたり、最後の最後まで、ほんの小さなものまで使用してしまうのです。こういうところもどこか絹と似ています。 日本人は整理好きで、いろいろと細かに分けて収納するくせがあるためタンスにはいろいろな種類があります。和ダンス、引き出しだけのもの、帯ダンス、長襦袢ダンス、半衿ダンス、下着ダンス、小物ダンス。きものは二つ折りで入れられるもの、帯は太鼓柄がちょうど見える大きさにたたんだ寸法が入るもの、半衿は二つ折り、長襦袢は夜着だたみにしたものが四枚ずつ入るものが使いやすいようです。桐ダンスは表面が汚くなりますと(約二〇~三○年)けずってまた使います。それが四回ぐらいできるので一〇〇年以上は新しい状態のまま用いられるわけです。

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