被衣とは

【読み:かずき】

女子が外出の際、頭からかぶった衣服のことをいいます。「かつぎ」ともいいます。平安時代からみられ、当時は、広袖の衣(きぬ)で、「衣かずき」ともよばれました。近世は、小袖形式になり、宮中では、紺絽(ろ)に白、紺、縹(はなだ)の三色の雁木(がんぎ)形段文様とされ、「御所がずき」と称しました。民間の上流階級では、色も文様も自由なものを用い、「町かずき」とよびました。衿肩あきを前身頃に9cmほど下げて、頭にかぶりやすいような形に仕立て、着方は、頭の両脇を内側から手で支えました。1651年(慶安4年)、浪人がこの「被衣姿」で老中を暗殺しようとした『由井正雪の乱』以降、宮中以外の女性のかぶり物は禁止されました。これにより、結髪と髪飾りが発達したともいえます。以後この「被衣姿」は、御所風俗と上流階級の婚礼や葬儀にのみ残されました。

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