【読み:かんさん】
汗を取る薄い肌着、下着のことで、「汗衣」、「汗襦(かんじゅ)」と同じ意味に用いられます。「衫」とは、袖の短い単(ひとえ)の意です。
漢代の故事の伝えるところによると、漢の高祖が項羽と戦ったときに着ていた下着に汗がしみたので、これを「汗衫」とよぶようになったといわれていますが、古代中国の衣服は、上着も下着もほとんど同形で、下に着る単着(ひとえぎ)[=「中単」と称しました]が「汗衫」とよばれるようになりました。
『釈名』によると、袖のたもとを切り詰めて筒袖状にした下着が「汗衫」であると説明していますが、日本でも奈良時代の「汗衫」は、汗取りの下着の意味に用いられました。
平安時代に入ると、「汗衫」を「かざみ」と称し、官女や童子などが初夏に用いた表着(うわぎ)のことをさすようになりました。