【読み:ゆきわもん】
雪の文様的表現として、独特の輪郭線で円形にあらわすものを「雪輪文」とよびます。桃山時代の繍箔(ぬいはく)文様に「雪持柳」などに交じって白糸で雪の小円を縫いあらわしたものです。まだ、後世のように形式は完成せず、不整形な凹凸のある小円です。徳川家康所用の辻ヶ花染め胴服(慶長7年)では、しだいに形式が華麗に整ってきています。このころは、「はずれ雪」とよばれていたようです。『御ひいながた』(寛文7年)には、素朴な整いを示し、『新板小袖御ひいなかた』(延宝5年)では、3〜4のふくらんだ弧と一つのくぼみを交互とする雪輪独自の輪郭線が完成しています。