【読み:おうかもん】
植物文様の一種です。桜の花をテーマとした文様です。「桜(さくら)文」ともいいます。桜は、日本では古くは、『記紀』や『万葉集』に記され、宮中では、「桜花(おうか)の宴」や「桜会(さくらえ)」が催され、右近の橘(たちばな)に対し、左近の桜と称せられ、文学上では、花といえば桜の花をさすほどになりました。近世では、花見は、民間の年間行事となり、今日に至るまで、毎年開花が待たれ、優美な姿がたたえられてきました。金工、陶工、漆工、木工、染織や絵画とあらゆる分野にわたるこの文様は、日本の代表的な文様のひとつとされています。その図様には、「小桜」、「枝垂れ桜(しだれざくら)」、「八重桜」、「枝桜」、「葉つき桜」、「桜樹」があり、複合文様には、「桜扇文」、「桜楓(おうふう)文」、「花見幕文」、「花筏(いかだ)文」、「花笠(がさ)文」、「吉野山」などがあり、春の華やかさを充分に表現しています。紋章は、70種前後に及びますが、武家の「定紋」としての使用は、江戸時代、大名三家、旗本20余家と比較的少なく、装飾性の強い「替え紋」として多く用いられました。