【読み:はなのまるもん】
花樹や草花などの一枝一株を円形にまとめた文様です。その起源は、仏前にささげる華鬘(けまん)[=花鳥の模様を透かし彫りした金銅製のもの]などにあるかと思われています。また、正倉院宝物中にその源流的な文様がみられます。形式は、円で囲んだ内に植物をおさめるものと、一枝一茎をたわめて輪状にするものとに大別されます。後者には、『諸国御ひいなかた』(貞享3年)に各種の例がみられますが、「友禅文様」と注記するものがあり、宮崎友禅斎が描いて人気のある文様と知られています。また『友禅ひいながた』(貞享5年)には、「花丸文」、もしくは、その系統のものが多数見いだされ、江戸時代中期には、友禅染めを特徴づける文様であったことがうかがえます。この伝統は、現代に及び盛行しています。