【読み:どうげんどんす】名物裂(ぎれ)の一つです。曹洞宗の開祖である、道元(1200〜1253)の袈裟(けさ)裂と伝えられており、典拠となっているもとの裂は、宋代(960〜1279)製織りの『極古渡り(ごくこわたり)』[=14世紀足利義満ごろまでの渡来品]のものです。蝶がまつわる花をつけた小花唐草が左右に伸び、また上下につながる文様を、濃紺の経(たて)糸に白茶の緯(よこ)糸であらわしています。道元の風韻をしのび、のちの時代になっても船で運ばれてきて、『後渡り(のちわたり)』[=1591年ごろ(永禄・天正)までの渡来品]に至るまで織りの精粗さまざまなものが現存しています。