【読み:ぼたんからくさ】
唐草文に牡丹花とその葉を配した文様です。中国盛唐時代に牡丹鑑賞が好まれ、その時代相を反映してこの文様が完成しました。唐代のこの文は、自然主義の造形感覚によって、あたかも写生画をみるような生彩ある表現でした。しかしなお、この文様の根源は、葡萄(ぶどう)や柘榴(ざくろ)など西方的なものに発していることが指摘されています。日本の遺例では、正倉院宝物中にみられます。または、名物裂(ぎれ)の中にも明代のこの文が多く見られます。小袖模様では、『新板当風御ひいなかた』(天和4年)に素朴な例がみられ、また、江戸時代中期の華やかな例もあります。