【読み:ひきぞめ】
染めの技法のひとつで、刷毛を引いて染めることから「引き染め」と呼ばれます。歴史的に見る染色の原点は浸染ですが、生地に糊防染して模様を染色する方法が発達すると、浸染では不都合となり、引き染めが考案されました。
引き染めは、反物の端を張り木(はりぎ)で挟み、伸子(しんし)で引き伸ばして張るように広げます。 そして「引き刷毛」と呼ばれる専用の刷毛に染料を含ませて、一気に染めていきます。広い面積を染色できるという利点がありますが、気象条件や気温や湿度、布の高低差などによる染料の偏りで染めむらができることもある難しい染め方です。豊富な経験と染料に関する知識などが必要とされます。
引き染めの特徴は刷毛跡にあるといわれます。染めの端を見ると、波打ち際のようなにじんだ形ができているといいます。