【読み:べにした】
黒染めの際に、下地に入れる染で紅を用いることを紅下といいます。白生地に紅(赤)の染料を重ねて下染めをして、その後黒で染めます。 下染めは深みのある黒を引き出し、色に深み、渋みを持たせます。重厚な色合いとなり、染め上がりの色艶がよくなることから、黒の紋付や喪服なを染める際に行われます。代表的な下染めの方法として、紅下のほかに藍を用いる藍下(藍下染)があります。 江戸時代には紅下は女物、藍下は男物に用いられていたといいます。また、紅下は関西風、藍下は関東風ということもあるようです。 現在は、草木染や泥染めなどの多くの染色方法があることや、合成染料で黒色がよく染まるようになっていることなどから、余り用いられなくなりました。下染めを行って深い色味を出す場合や、ジーンズの染色などにおいては、今でも用いられています。