【読み:しおざわつむぎ】
新潟県南魚沼市(旧塩沢町・六日町)周辺で織られている、生糸または玉糸を経糸に、手紡糸を緯糸に使用した紬で、細かい絣が特徴です。
塩沢紬の図柄は、絣糸を1本1本合わせることで生まれる蚊絣といわれる精巧な十字絣や、亀甲絣などがあります。それらの図柄が集まって大きな文様を作り出します。
色調は、紺地や黒地に白絣、白地に紺、黒絣など、全体的に渋めです。また、グリーン系やえんじ系、紫系の濃淡をつけたものも織られていますが、単彩調で淡い色調のものが多いのが特徴です。
もともと麻織物が盛んだったこの地方では、江戸中期頃から上布や絣や縞の技法を絹織物に応用し、紬や御召が織りだされました。大正から昭和にかけて麻織物が減ったため、積極的に紬に取り組んだといわれます。塩沢紬は昭和50年に、本塩沢は昭和51年に伝統的工芸品に指定されています。塩沢紬はざらざらとした手ざわりですが、その一方で、他の紬に比べて薄手でさらさらとした風合いが特徴です。