【読み:おおしまつむぎ】
鹿児島県南方の奄美諸島、奄美大島の特産品で、絹平織の高級着尺地です。 フランス・ゴブラン織、ペルシャ絨毯と並ぶ、世界三大織物の一つといわれ、元禄の世から現代にいたるまで着物の最高級品として知られています。 紬としては結城紬と並ぶ代表的なもので、大島とも呼ばれます。大島絣(おおしまがすり)とも呼ばれ、絣柄が多く、莚機(むしろばた)と呼ばれる織締機(おりしめばた)で、経糸にガス糸を、緯糸に絣糸となる絹撚糸を打ち込んで、絣莚(かすりむしろ)という織物をつくります。これを古来より島に自生する車輪梅(テーチ木)を染料とし、奄美の泥で鉄媒染する糸染(泥染)を繰り返し行うことにより、独特の深みのある黒褐色に発色させます。奄美特有のきめ細かい泥だけが、この色を表現でき、糸に泥の粒子が付着することで、軽くて柔軟性をもつ、保温性の高い生地となります。 染色後、水洗い、乾燥、絣解きをして、高機で織り上げます。柄は幾何文や草花文など、細かい十字絣の組み合わせで織り出したものが多く、これらの絣文様は、もともとはハブの鱗を再現しようとして発展したものだといわれています。小さな絣を織り出すのは大変根気のいる仕事で、一反を仕上げるのに1ヶ月近くかかります。
大島紬には泥染だけの泥大島、藍染の糸で織った藍大島、泥染と藍染併用の泥藍大島のほか、多彩な色大島、地が白で模様を色で織りだした白大島などがあります。また、薄地に織った夏大島もあります。
本場奄美大島紬の製品は全て1反ごとに、産地表示のため、金茶色の地球のマークと朱色で「本場奄美大島」の文字が織込まれてあり、かつ地球印の登録商標と、経済産業大臣指定伝統的工芸品の伝統証紙が必ず貼られています。また泥染には泥染証紙が、草木染めには草木泥染証紙が、別に貼られていて、本場奄美大島紬であることを証明しています。 大島紬の規格は下記のとおりです。
・1反の長さ12.34m以上 ・1疋の長さ24.39m以上 ・生地幅は34.8cm以上 ・1反当たりの重さは450g以上