【読み:なんぶひしざし】
こぎん刺し(刺し子)と同じように、布に糸で模様を刺したもので、布地に厚みを加えたり、補強するために用いられました。
青森県東南部や岩手県南部地方で、古くから盛んに行われた技法です。津軽のこぎん刺しが、柄の多様性を追求したのに対し、菱刺しはいろいろな色糸を用いて多彩性を求めました。模様はすべて菱形の単位模様で、菱刺しの呼称はここから名付けられました。
小さな菱形を刺し、それらが集まると大きな菱形になります。さらにそれらを組み合わせて、新しい集合模様をつくっていきます。それらの模様には、梅の花、牛の靭、雉子の足、花の紋、矢の羽、猫の目、算盤玉(そろばんだま)など、身近なものからとった名前がついています。