【読み:みんさーおり】
産地:沖縄県八重山郡竹富町・石垣市
島娘が恋心を織り込んだ絣の織りもの。
主に琉装の角帯として用いられていました。現在では財布や小物入れなどの民芸調小物をはじめ、半幅帯や名古屋帯も織られています。 竹富島に伝わるミンサー織は、絣の柄が特徴的で、市松模様のように図案化されています。この絣の文様を「玉」と呼びますが、玉が5つと4つで構成されており、布の両側には細い線で、まるでムカデの足のように縁取りがあります。かつて島の娘たちは婚約のしるしとして、愛する男に、藍地に白の木綿絣の角帯を贈りました。当時は「通い婚」だったので、夫を想う妻、そして内地から島を訪問する旅人や役人に恋をした島の娘たちは、男たちが心変わりしないように、「どうかいつ(5)の世(4)までも、ムカデの足のように足繁くお通いください」との願いを込めて、絣柄を5つと4つで図案化し、ムカデの足のように両側を縁取ったといいます。娘たちの、切ない思いが織り込まれたミンサー織です。
土着の匂いのするミンサー織の帯は、木綿の絣や縞柄などのきものに合います。絹の場合でも紅型(びんがた)のような染めのきものではなく、民芸調のざっくりしたものがよいです。