【読み:くりこましょうあいぞめ】
藍染めは一般的に人工加温(藍甕を温めて、藍を人工的に発酵させること)をして、一年中染めることができます。これが現在では藍染めの常識となっていますが、宮城県の栗駒町に伝えられている染め方は、奈良時代に行われていたという自然の染色法、正藍染です。藍を大桶に入れて自然発酵させて染める原始的な方法で、自然発酵の可能な夏の2ヶ月間だけしか染めることができません。つまり、藍は夏の気温の中で、自ら発酵するのです。
この方法を継承し、実践していたのが栗駒町の千葉あやのさん(故人)で昭和30年に重要無形文化財保持者に認定されました。そのときは、「正藍冷染(しょうあいひやぞめ)」とよんでいましたが、昭和41年に現在の名称に改められました。千葉さんは栗駒町に生まれ、嫁ぎ先で正藍染を体得しました。原料の藍を栽培し、糸績みから染め織りまで手がけていました。現在は娘さんが正藍染の技法を受け継いでいます。