【読み:かがゆうぜん】
京都の友禅染に対し、加賀(石川県南西部)で行われる友禅染のことです。江戸中期頃、京友禅の創始者とされる宮崎友禅斎が金沢に移住後、加賀御国染めをもとに、気候に合わせて改良した染物の技法です。手描き染めと型染めがありますが、手描き染めが有名です。
「加賀五彩」と呼ばれる臙脂・藍・黄土・草・古代紫の五色の色使いと「虫食い」と呼ばれる葉を虫食いにした表現や、「先ぼかし」というぼかし染めの技法が用いられます。基本的に金加工や刺繍などはされません。ぼかし染めは、外側から内側へだんだん薄くぼかしていくのが特徴で、京友禅のぼかしが内側から外側へ向かうのと異なっています。
加賀友禅の表現は絵画的なデザインで、花鳥風月などの自然や古典をモチーフにしたものが多いです。京友禅の華やかな表現に比べると、加賀友禅は武家好みの落ち着いた趣があります。