【読み:りんじゅう】
臨終に際しては、できるだけ大勢の人が、死者の名前を呼び、魂が肉体から離れないように祈りを込めます。昔はこのとき蘇生の方法である呪術をかけ、それでも間に合わない場合は、あきらめて旅立つ人が先の世でも水に不自由しないように、のどが渇かないようにという願いを込め末期の水で口をうるおしてあげました。今は医者が臨終を告げた後、新しい割り箸の先に脱脂綿を巻き付け、白糸でしばり、茶碗に入れた水に浸してくちびるを潤します。この作業は、死者といちばん深いかかわりのある人からはじめて、臨終の席に臨んだ人たち全員が儀式に加わります。このあと、枕飯か枕団子をつくって枕側に飾りますが、枕飯は茶碗に高く盛りつけるのが習わしで、箸をその上に立てます。この枕飯には、あの世に行っても食べるものに困らないようにという願いが込められているようです。そして湯灌をします。これは「声かけ水」といって、まだ魂を呼び込めるかもしれないという強い願望から生まれたものだそうですが、身ぎれいにして旅立たせたいという遺族の愛情です。ここまではすべて遺族の手で行います。ここから先の葬儀一切は別の人がとりしきるのが習わしです。遺族は別れをじっくりかみしめ、想い出にふけり、淋しい霊と共に過ごすのが古代からの日本の葬儀の考え方です。