【読み:きものごよみ】
初稽古 初釜、初踊りなどの稽古はじめが、一月十五日までの間に行われます。この日は「今年こそ上達したい」という願いを込めて集まり、師匠のお点前や舞を拝見する日です。装いは華やかに、ただしどこかひかえめな部分を見せるようにしておくとよいでしょう。髪型を華やかにしたらお化粧はひかえめに、あるいはきものを年齢より若々しくしたら態度はもの静かにします。師匠へのお礼は「寿」と表書きしたのし袋に現金を入れて渡します。
卒業式・入学式 式典の場合は、きちんとした晴着をきるのが礼儀だと思われます。教育の場ですから、華やか過ぎるのはよくありません。ひかえめな中にも凛とした美しさと厳しさを醸し出すため、一つ紋付の黒羽織もふさわしい装いと思われます。
謝恩会 恩師に感謝を捧げ、友人たちとお互いの友情をたたえあう日です。楽しく華やかにその場を盛り上げたいものです。日本には社交界デビューはありませんが、この日をそう考えて、思い切り美しく装ってみてもよいかと思われます。ほんとうのおしゃれには厳しい作法が必要であることを実感として理解できるはずです。
お中元 八朔の祝から生じた風習ですから、目上の人にお願いとお礼を兼ねてあいさつに伺います。きちんとした身支度を整えて出かけるのが礼儀です。最近はデパートから直接品物を送るという方法がとられていますが、これから先お世話していただきたい方には、やはり直接自分の手で届け、しっかりとあいさつするべきだと思われます。
発表会 踊り、ピアノ、花、茶、書など、練習を重ねた成果を問う発表会では、その場の雰囲気をより盛りたてるためにも、晴着を着て共に喜びあいたいものです。それぞれの会では、花の発表に花を贈るのは失礼ですし、踊りの会に本人より派手なきものを着ていくのもマナーに反しています。お祝いをする人はあくまで脇役と心得、華美すぎず、また暗く地味にならないように気を配るべきでしょう。
結婚記念日 当人同士なら、思い出のあるきものに手を通すのも出会いの頃の新鮮な気持ちがよみがえって心が弾むものです。お祝に駈けつける場合は、結婚年数のお祝品を持っていくのが洒落ています。結婚記念日の名称は、一年目 紙婚、二年目 綿婚、三年目 皮革婚、四年目 書籍婚、五年目 木婚、六年目 鉄婚、七年目 銅婚、八年目 電気婚、九年目 陶器婚、一〇年目 錫婚、一一年目 鋼鉄婚、一二年目 絹・麻婚、一三年目 レース婚、一四年目 象牙婚、一五年目 クリスタル婚、二〇年目 磁器婚、二五年目 銀婚、三〇年目 真珠婚、三五年目 翡翠婚、四〇年目 ルビー婚、四五年目 サファイヤ婚、五〇年目 金婚、五五年目 エメラルド婚、七五年目 ダイヤモンド婚です。
年越しのしたく 一二月八日を「正月事始め」といって、新年を迎える準備に取りかかります。もちつきは八の日が縁起がいいということで、八日、一八日、二八日行われます。八の字は末広がりという意味があります。また一二月一五日は「名残の茶」といって、その年最後のお稽古をつけてもらう日で、このとき師匠にお歳暮をもっていきます。