【読み:ぼかしぞめ】
地色の一部をぼかして染めることをいいます。染色の際に、糊で堤防を作らず、色のにじんだ、あいまいな感じを利用するものです。
単色、または複数の色の濃淡をつけて、霞のような色の美しい調和を表現します。
複数の色でぼかし染めにする場合、一方の色の濃い色から薄い色へと変化をつけ、その続きにもう一方の薄い色から始まって、濃い色へと続いていくという色合いの変化になります。色の境界線の部分を「ぼかし足」といいます。
ぼかし染めには様々な種類があります。
全ぼかしはぼかしに形を持たせず、濃色から淡色へのグラデーションをいくつも表現しているものです。
また、段ぼかしは濃い色から淡色への変化を縞模様のように繰り返しているもので、色彩の段が雲の端に見えるようなことから暈繝(うんげん)ともよばれます。他にもぼかし方には数多くの種類があります。
また、裾に向かって色が濃くなっていく「裾濃(すそご)」や、ところどころに斑にぼかしている「斑濃(むらご)」という表現もあります。
柄のある着物では裾ぼかし、縦方向の縦ぼかし、図柄の周りを薄くするまきぼかしなどのぼかしの表現によって、柄が引き立つという効果もあります。
ぼかしは印象を柔らかくしたり、華やぎを添える色の効果を持ち、振袖や訪問着、色無地などの着物の他、長襦袢や裾回しなどに幅広く使われている技法です。